バイオ研究まとめ

バイオ研究(医学系・生命科学系など)の研究室での活動に役立つ情報をまとめます

自動細胞カウンターの簡単な比較

 

 研究室に最新の自動細胞カウンターが導入され、最近喜んでいます。

 

 伝統的な血球計算盤を用いた手動の細胞計数は、それ自体が確立されたテクニックであり、訓練された人が行えば信頼性も高いです。しかし、この手動の方法は、少しずつ、新しい技術、すなわち自動細胞カウンターに取って代わられつつあります。血球計算盤を使って細胞を数える方法は、細胞計測の基本ですが、それを今もやっているラボは減っているように思います。もちろんまだ使っているところも多いでしょうけれど。

 時代は自動細胞カウンターをつかってささっと細胞カウントはしてしまうようになっていますし、倒立顕微鏡は使わず、デジタル顕微鏡で状態をさっと確認して培養するようにすれば、細胞のメンテナンス仕事の時短が完成します。

 

自動細胞カウンターの利点

 

 自動細胞カウンターが伝統的な手動の方法よりも優れている点をあげてみます。

 

速度と効率性

 自動細胞カウンターは、細胞計数を高速に行うことが可能です。人間が行うのと比べて、数分の一の時間で結果を得ることができます。これにより、実験時間を大幅に短縮し、より多くの時間を他の重要なタスクに費やすことができます。

 

精度と一貫性、客観性

 自動化されたカウンターは、人間が行うよりも一貫性のある結果が得られます。人間の目では見逃すことがある細胞も自動化されたプロセスでは見逃されない場合もあり、さらにはカウントのばらつきも減少します。

 

省力化

 細胞の手動計数は繰り返し作業であり、長時間にわたるばあいもあり、高い集中力を必要とします。サンプル数が多いと、精神的にもきつですね。これに対して、自動細胞カウンターはこの手間を大幅に減らし、研究者の負担を軽減してくれるのは言うまでもありません。

 

自動細胞カウンターの欠点と考慮事項

 一方の考慮事項です。

 自動細胞カウンターには導入コストが高いというデメリットもあります。また、機器の維持には消耗品が必要なものもまだ多く、これにより運用コストもかかります

 

 機器を導入する際には、これらのコストと利点を十分に考慮した上で、研究の目的や必要な機能に合ったデバイスを選ぶことが重要ですね。また、各メーカーからのデモを活用して、それぞれの機器の性能を自分の目で確かめることをお勧めしたいと思います。

 

自動細胞カウンターを比較した表

 昨今購入可能な自動細胞カウンターを簡単にまとめてみると、以下のようなものがあります。管理人は Countess 3、TC20、LUNA を実際に使っており、デモ で anvajo と CellDrop を見せてもらいましたが、いずれも利点・弱点はあるものの使いやすい機器でした。

 

メーカー / 販売元 商品名 参考価格概算
Thermo Countess 3 52万円~
Bio-Rad TC20 50万円~
Merck ScepterTM 3.0 34万円
anvajo fluidlab R-300 68万円
Corning Corning セルカウンター 47万円
CURIOSIS FACSCOPE B 48万円
DeNovix CellDrop 69万円~
Logos Biosystems LUNA-FX7 113万円
ORFLO MoxiZ 問い合わせ
SOL SOL COUNT 40万円

 

まとめ

 科学の進歩はとまることなく、そのために研究しているわけですが、その研究を支える新しい技術も続々と登場しますね。明らかに自動細胞カウンターはその一つで、研究をより効率的に、そして正確に進めるための強力なツールとなり得ることを実感しています。血球計算盤で細胞を数える非効率性は排除するのがよいと思っています。

 しかし、機器の選択には注意が必要です。コストと効率、正確さと使いやすさのバランスを見極め、自分の研究に最適なデバイスを選ぶことが求められます。

 現代の生命科学・バイオ研究においては、省力化できるところは省力化し、より効率的に研究を進めることがより大切になっています。自動細胞カウンターはその一助となり、科学者の手間を減らし、より多くの時間を研究に費やすことを可能にしてくれるように思っています。